
さくらゆ
@skryuh_
- 2025年9月17日星の花濱野京子読んだ
- 2025年9月12日アルジャーノンに花束を新版ダニエル・キイス,小尾芙佐読んだ「どういう終わりを迎えるのか」と、ひたすらに心理学書や哲学書のような文章を読み進めました。終わりが「温かなもの」で良かった。「人間とは」とか「愛情とは」とか「善意とは」「寛容とは」「利口とは」など倫理道徳の様々ことを問い掛けられ続けているような読書体験でした。 タイトルの「アルジャーノン」とは、作中に登場するネズミのみではなく、これまで生きた(生きている)実験に使用された命たち全てを含んでいるように思いました。
- 2025年8月27日しない。群ようこお気に入り読んだ確固たる自分を持っている人や、自分を俯瞰できて収まるべきところがわかっている人に憧れるところがあるので、群先生のブレなさに惹き込まれてするするあっという間に読んでしまいました。男性性や女性特有の習性に対しての言動は爽快。表紙のぬいぐるみやブックデザインも素敵です。
- 2025年8月23日言葉を使う動物たちエヴァ・メイヤー読んだ動物も彼らの世界でコミュニケーション取り合って生きていますよ。という研究をまとめた内容。 コミュニケーションの方法を、人間に分かりやすくするため「言葉」としてタイトルが付けられているのだと思います。 動物のことを知ろうとした時に、動物を人間の側に連れてきて同じ土俵で測ろうとする。身体の構造も機能も世界の捉え方さえ違うのに。 人間の側に連れてきてしまった故に起こる悲しい末路も多々あれど、人間が動物の側に行き知ろうとしている事例もあった。それは動物たちがのびのびしているようで読んでいて気持ちがいい。
- 2025年8月11日生きるぼくら原田マハお気に入り読んだマハさん2冊目。また絵画ものだと思い読み始めたら全く違いました。「生きる」ということ「生活する」ということが詰まっている。 生きることが嫌になり、リアルな世界を遮断して、一人の空間に閉じこもり、ネットの中で生きている若者が主人公。けれど、自分たちの「命」があるのはどうしたって「現実世界」だ。「現実世界」にはたくさんのしがらみがある。それをひとつひとつ受け入れて自分のものとしていくしか「生きる」方法はない。そういうことを伝えてくれる物語だと思いました。 物語に登場する「志乃さん」は魔女の宅急便の「おソノさん」みたいだった。大好きだ。 どん詰まったら、「生きる場所」を変える。 なんでも自分から関わらなきゃ「人生」はつまらない。 自分から何かすることが「生きること」を楽しくする。
- 2025年8月9日たゆたえども沈まず原田マハお気に入り読んだ読み始めて、ゴッホの研究をしている人や、その関連の人がゴッホ作品やゴッホの真相を追い求めるみたいな物語なのかなと思ったのですが、全く違って正にゴッホが生きた時代の、当人たちの物語でした。 美術史文学に初めて触れましたが、歴史文学があるのだから、美術のそれがあってもおかしくないんですよね。何も歴史は戦、抗争だけではないですもんね。 恐らく、研究で未だ解明されていない余白の部分を埋めるような、原田マハさんの解釈を込めた、ひとつのゴッホの物語。「あの作品たちをこういう言葉で表すのか…!」と作品を見る目も養える美しい文章でした。 《肖像画》のエピソードはテオと一緒に涙しますし、《星月夜》のエピソードは一文読む度に心震えて涙がぽろぽろ溢れます。 お互いを思い合ってるのに報われない生涯は本当にやり切れない。
- 2025年7月24日人生オークション原田ひ香読んだ離婚して一人暮らしをすることになった叔母の1Kの新居は、以前の家にあった物を詰めたダンボールで一部屋分が占拠されていた。 母の代わりに叔母の部屋の整理を手伝う姪は、就職活動に失敗してフリーターをしている。部屋が整理されていくにつれ、二人の人生も整っていく兆しが見える。 姪と叔母の話だと宮下奈都さんの『太陽のパスタ、豆のスープ』を思い出す。あちらは結婚寸前に婚約破棄され、寿退社も職場に伝えていたため今更取りやめにするわけにもいかず、破局と同時に無職となった姪を、陽気でフットワークの軽い叔母がいろいろ引っ掻き回して元気にしていく話。
- 2025年7月21日三千円の使いかた原田ひ香読んだプラス、マイナス、様々な階層のお金事情と悩みが詰まった一冊でした。おばあちゃんが1番ちゃっかりしていて1番お金持ちで誰かを助けつつ自分の問題も解決しているスーパーウーマンでしたね。素敵な人です。
- 2025年7月17日裏庭梨木香歩好きな作家お気に入り読んだ三世代に渡っての壮大な解呪の物語でした。幼少期日本で育った英国の姉妹。その姉妹の友人だった少年少女。レストランを経営している夫婦と双子の片割れを亡くした娘。それぞれ、姉妹が暮らしていたお屋敷と縁のある人々。そして、上手く絡み合って現代を生きている。 不思議な力で導かれるように、縁が強く結ばれた時、それぞれが抱える傷(呪い)が癒され(解かれ)ていく。 現実世界とファンタジーが織り混ざった冒険譚でもありました。裏庭に迷い込んだ少女は清濁様々な感情を覚えて大人になる。裏庭は精神世界。そこを豊かにすることで、人間の成熟度が増すのだと思う。裏庭を耕し、そこで得た知見を現実世界に活かせれば良いけれど、裏庭にばかり囚われてしまうと現実世界では生きられない。 現実も裏庭もどちらも愛することで、現実世界では人間関係を潤滑にし、裏庭はより美しく豊潤に保たれるのかもしれない。
- 2025年7月11日りかさん梨木香歩好きな作家読んだ『からくりからくさ』の前日譚と後日譚。 蓉子とりかさんとおばあちゃんが過ごした、特別だけどそれが彼女たちの通常の日々。 どんな風にりかさんとの信頼関係を築いてきたのか、蓉子が持つ万物への慈愛がどのように育まれたのか、それがわかる物語でした。
- 2025年7月9日からくりからくさ梨木香歩好きな作家お気に入り読んだ唐草模様のように続くひとりひとりの日常が、家々の歴史が、歴史の中の人たちの営みが、絡繰のようにはっと驚く繋がりを持って物語になる。小さなことから大きなことまで、時には海も越えて繋がっていく。全く別のものと思われていた事柄が繋がりを持つことでそこにある感情の質を変えて現れる。 草木の話、染物や織物の話をしていたかと思えば、国の話になり、国境の話になり、血生臭さもある。やはり万物に対しての知見がものすごく広くて深いのだと思い知らされる一冊。世の中に対する冒険心が凄まじいんだろうなぁと、貪欲さと感性に尊敬するばかり。物語に落とし込む技術も。 今まで知っていた言葉でも梨木さんが使うと深みが増す。黄色単色で塗られた落ち葉と、名前も知らないような黄系の色を重ねて塗られた落ち葉くらいに違う。 絡繰を楽しんでもらいたくて、抽象的な感想になってしまう。
- 2025年7月3日冬虫夏草梨木香歩好きな作家お気に入り読んだ『家守綺譚』の続編。 前回と変わって、今回は旅。 家で共に暮らしていたゴローの姿が近頃見えない。 そんなわけで、ゴローを探す旅が始まる。 訪れる所々で、様々な目撃情報や、ゴローの善行などを聞きながら向かう先が決まっていく。訪れる村々で出会う人たちの生活を感じたり、頼み事を受けたりするうちに、少しずつ少しずつ進んでいく。 人情に訴える話があったり、自然に対する人の在り方を思ったり。 「そのときどき、生きる形状が変わっていくのは仕方がないこと。(中略)人は与えられた条件のなかで、自分の生を実現していくしかない」 今回も多くの学びがありました。 『キキョウ』からの『マツムシソウ』の、時の流れに逆らった美しい出逢いに落涙。 そして、ゴローとの再会も感涙。 はじめてのおつかいのゴールを見ているよう。 これと並行した物語が『村田エフェンディ滞土録』であり、その中で高堂が村田に言う「それはもとの神社にお帰りねがえ」の言葉を思い出して、真意を理解して笑いました。 ここまで読んでみて、まだ続きがありそうだな?という気がしてしまいますね。 サラマンドラの解決がまだありそう。
- 2025年6月22日愛するということエーリッヒ・フロム,鈴木晶読んだ「誰かを愛するというのは、たんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である。」 万人を愛せよ。人間の営みを愛せよ。 話はそれからだ。 ということかなと思いました。
- 2025年6月14日亡霊の烏阿部智里好きな作家お気に入り読んだ
- 2025年6月6日(新装版)京都 ものがたりの道彬子女王読んだ京都の通りの名前を覚えたくなった。通りの名前の由来や違いを感じながら京都を味わいたい。そして「蛸上がったところ」でどんなところか頭に浮かぶようになってみたいな〜と憧れを抱くような御本でした。
- 2025年6月2日
- 2025年5月28日家守綺譚梨木香歩好きな作家読んだ四季折々の植物を愛で、異界のものとの交流に翻弄されつつ異界のものを拒まない、理解しようとする、美しいとさえ思う、優しいお話でした。 先に『村田エフェンディ滞土録』を読んだので順番が前後してしまいましたが、こちらに登場した友人であり帰国後の下宿先となる綿貫が本書の主人公でした。『滞土録』の最後での綿貫と高堂の不思議な関係性の正体が『家守綺譚』で描かれているので、再読するとこのシーンの理解が深まります。「訳知り顔の犬」と書かれていた犬の解像度も上がるので、登場の様子にほろりと涙腺が緩んだり。 ただ、サラマンドラについては読み逃したのか、もしくは『家守綺譚』の続編があるのか、読み解けなかったですね。『家守綺譚』から『滞土録』の間にまだ何かありそうな気がしますね。探してみます。 「与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。こういう生活は、私の精神を養わない」 「精神を養う」という言葉は、『西の魔女が死んだ』の「魂は成長したがっている」という言葉と同じ。魔女になるための土台は精神力。魔女に必要なのは「自分で決める力」。トレーニングは自分を律することから始まる。「刻苦して自分で掴む理想」も言いたいことは似ている気がする。 生きる上での苦しみは、精神を養い、魂を成長させる。魂はそれを望んでいるのだから、自分を刻苦させることから逃げない。強い精神力を持って生きる。ことの推奨。 自分の「生」から逃げない。ということ。
- 2025年4月26日
- 2025年4月19日やがて満ちてくる光の梨木香歩好きな作家お気に入り読んだ興味の範囲が大変多岐へ渡っていること、そしてその深度と極めようとする行動力に圧倒されるばかりでした。生成される物語の奥深さは、持ち合わせた好奇心と感受性と行動力により日々収集し蓄積される深い知識によるものなのだと、その一端を覗かせてもらうような心地でした。人の営みや信仰、自然に対する敬意に溢れていて、本当に博識で思慮深く、素敵な方なのだと、憧憬の念を抱きます。
- 2025年4月5日村田エフェンディ滞土録梨木香歩お気に入り読んだ表紙の柔らかい雰囲気と掛け離れた本文の文体に、読み始めてから少し戸惑ってしまいました。 (あれ? 梨木香歩さんの御本じゃなかったっけ? 梨木さんって明治の方だっけ? あれ?) と困惑。現代を生きる作家さんが「明治や昭和初期頃の文豪のような文体」で書かれたものを初めて読みました。時代小説といわれる作品は江戸時代以前のものが多い印象ですが、確かに昔の言葉で書かれていますから、明治頃の文体を現代作家が書くのもありですよね。 文体は古風で戸惑いましたが、内容は梨木香歩さんの魅力が満載でした。 物語の始まりは "ムハンマドが通りで鸚鵡を拾った"。 そこから"村田"のトルコ留学記の様子が少しずつ見えてきます。 ラストにある "ああ、私はこういうことだけ延々と書いていたい。鸚鵡が何と言ったか、とか、オットーが何に笑ったか、ムハンマドがどうして腹を立てたか、そういう日常の、ごくごく些細なことだけを。" この文章のような異国での戸惑いながらも幸福な日々の話が続くのかと思っていたけれど、梨木さんらしい甘いだけではない、「生」についての話で、「友」についての話で、「国境」についての話で、「人権」についての話でした。 舞台は異国の地の話でしたけれど、これは現代の日本にも通ずるものだと思います。
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