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佐倉侑
佐倉侑
@skryuh_
  • 2025年7月24日
    人生オークション
    離婚して一人暮らしをすることになった叔母の1Kの新居は、以前の家にあった物を詰めたダンボールで一部屋分が占拠されていた。 母の代わりに叔母の部屋の整理を手伝う姪は、就職活動に失敗してフリーターをしている。部屋が整理されていくにつれ、二人の人生も整っていく兆しが見える。 姪と叔母の話だと宮下奈都さんの『太陽のパスタ、豆のスープ』を思い出す。あちらは結婚寸前に婚約破棄され、寿退社も職場に伝えていたため今更取りやめにするわけにもいかず、破局と同時に無職となった姪を、陽気でフットワークの軽い叔母がいろいろ引っ掻き回して元気にしていく話。
  • 2025年7月21日
    三千円の使いかた
    プラス、マイナス、様々な階層のお金事情と悩みが詰まった一冊でした。おばあちゃんが1番ちゃっかりしていて1番お金持ちで誰かを助けつつ自分の問題も解決しているスーパーウーマンでしたね。素敵な人です。
  • 2025年7月17日
    裏庭
    裏庭
    三世代に渡っての壮大な解呪の物語でした。幼少期日本で育った英国の姉妹。その姉妹の友人だった少年少女。レストランを経営している夫婦と双子の片割れを亡くした娘。それぞれ、姉妹が暮らしていたお屋敷と縁のある人々。そして、上手く絡み合って現代を生きている。 不思議な力で導かれるように、縁が強く結ばれた時、それぞれが抱える傷(呪い)が癒され(解かれ)ていく。 現実世界とファンタジーが織り混ざった冒険譚でもありました。裏庭に迷い込んだ少女は清濁様々な感情を覚えて大人になる。裏庭は精神世界。そこを豊かにすることで、人間の成熟度が増すのだと思う。裏庭を耕し、そこで得た知見を現実世界に活かせれば良いけれど、裏庭にばかり囚われてしまうと現実世界では生きられない。 現実も裏庭もどちらも愛することで、現実世界では人間関係を潤滑にし、裏庭はより美しく豊潤に保たれるのかもしれない。
  • 2025年7月11日
    りかさん
    りかさん
    『からくりからくさ』の前日譚と後日譚。 蓉子とりかさんとおばあちゃんが過ごした、特別だけどそれが彼女たちの通常の日々。 どんな風にりかさんとの信頼関係を築いてきたのか、蓉子が持つ万物への慈愛がどのように育まれたのか、それがわかる物語でした。
  • 2025年7月9日
    からくりからくさ
    唐草模様のように続くひとりひとりの日常が、家々の歴史が、歴史の中の人たちの営みが、絡繰のようにはっと驚く繋がりを持って物語になる。小さなことから大きなことまで、時には海も越えて繋がっていく。全く別のものと思われていた事柄が繋がりを持つことでそこにある感情の質を変えて現れる。 草木の話、染物や織物の話をしていたかと思えば、国の話になり、国境の話になり、血生臭さもある。やはり万物に対しての知見がものすごく広くて深いのだと思い知らされる一冊。世の中に対する冒険心が凄まじいんだろうなぁと、貪欲さと感性に尊敬するばかり。物語に落とし込む技術も。 今まで知っていた言葉でも梨木さんが使うと深みが増す。黄色単色で塗られた落ち葉と、名前も知らないような黄系の色を重ねて塗られた落ち葉くらいに違う。 絡繰を楽しんでもらいたくて、抽象的な感想になってしまう。
  • 2025年7月3日
    冬虫夏草
    冬虫夏草
    『家守綺譚』の続編。 前回と変わって、今回は旅。 家で共に暮らしていたゴローの姿が近頃見えない。 そんなわけで、ゴローを探す旅が始まる。 訪れる所々で、様々な目撃情報や、ゴローの善行などを聞きながら向かう先が決まっていく。訪れる村々で出会う人たちの生活を感じたり、頼み事を受けたりするうちに、少しずつ少しずつ進んでいく。 人情に訴える話があったり、自然に対する人の在り方を思ったり。 「そのときどき、生きる形状が変わっていくのは仕方がないこと。(中略)人は与えられた条件のなかで、自分の生を実現していくしかない」 今回も多くの学びがありました。 『キキョウ』からの『マツムシソウ』の、時の流れに逆らった美しい出逢いに落涙。 そして、ゴローとの再会も感涙。 はじめてのおつかいのゴールを見ているよう。 これと並行した物語が『村田エフェンディ滞土録』であり、その中で高堂が村田に言う「それはもとの神社にお帰りねがえ」の言葉を思い出して、真意を理解して笑いました。 ここまで読んでみて、まだ続きがありそうだな?という気がしてしまいますね。 サラマンドラの解決がまだありそう。
  • 2025年6月22日
    愛するということ
    愛するということ
    「誰かを愛するというのは、たんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である。」 万人を愛せよ。人間の営みを愛せよ。 話はそれからだ。 ということかなと思いました。
  • 2025年6月14日
    亡霊の烏
    亡霊の烏
  • 2025年6月6日
    (新装版)京都 ものがたりの道
    京都の通りの名前を覚えたくなった。通りの名前の由来や違いを感じながら京都を味わいたい。そして「蛸上がったところ」でどんなところか頭に浮かぶようになってみたいな〜と憧れを抱くような御本でした。
  • 2025年6月2日
    風の又三郎(新編)
    久しぶりに読み返し
  • 2025年5月28日
    家守綺譚
    家守綺譚
    四季折々の植物を愛で、異界のものとの交流に翻弄されつつ異界のものを拒まない、理解しようとする、美しいとさえ思う、優しいお話でした。 先に『村田エフェンディ滞土録』を読んだので順番が前後してしまいましたが、こちらに登場した友人であり帰国後の下宿先となる綿貫が本書の主人公でした。『滞土録』の最後での綿貫と高堂の不思議な関係性の正体が『家守綺譚』で描かれているので、再読するとこのシーンの理解が深まります。「訳知り顔の犬」と書かれていた犬の解像度も上がるので、登場の様子にほろりと涙腺が緩んだり。 ただ、サラマンドラについては読み逃したのか、もしくは『家守綺譚』の続編があるのか、読み解けなかったですね。『家守綺譚』から『滞土録』の間にまだ何かありそうな気がしますね。探してみます。 「与えられる理想より、刻苦して自力で掴む理想を求めているのだ。こういう生活は、私の精神を養わない」 「精神を養う」という言葉は、『西の魔女が死んだ』の「魂は成長したがっている」という言葉と同じ。魔女になるための土台は精神力。魔女に必要なのは「自分で決める力」。トレーニングは自分を律することから始まる。「刻苦して自分で掴む理想」も言いたいことは似ている気がする。 生きる上での苦しみは、精神を養い、魂を成長させる。魂はそれを望んでいるのだから、自分を刻苦させることから逃げない。強い精神力を持って生きる。ことの推奨。 自分の「生」から逃げない。ということ。
  • 2025年4月26日
    沼地のある森を抜けて
    やはり命の終焉も繋がる可能性も出会う人(命)によるということ。「ぬかどこ」と菌や酵母など化学的原理の切り口で命について語る面白さ。
  • 2025年4月19日
    やがて満ちてくる光の
    興味の範囲が大変多岐へ渡っていること、そしてその深度と極めようとする行動力に圧倒されるばかりでした。生成される物語の奥深さは、持ち合わせた好奇心と感受性と行動力により日々収集し蓄積される深い知識によるものなのだと、その一端を覗かせてもらうような心地でした。人の営みや信仰、自然に対する敬意に溢れていて、本当に博識で思慮深く、素敵な方なのだと、憧憬の念を抱きます。
  • 2025年4月5日
    村田エフェンディ滞土録
    表紙の柔らかい雰囲気と掛け離れた本文の文体に、読み始めてから少し戸惑ってしまいました。 (あれ? 梨木香歩さんの御本じゃなかったっけ? 梨木さんって明治の方だっけ? あれ?) と困惑。現代を生きる作家さんが「明治や昭和初期頃の文豪のような文体」で書かれたものを初めて読みました。時代小説といわれる作品は江戸時代以前のものが多い印象ですが、確かに昔の言葉で書かれていますから、明治頃の文体を現代作家が書くのもありですよね。 文体は古風で戸惑いましたが、内容は梨木香歩さんの魅力が満載でした。 物語の始まりは "ムハンマドが通りで鸚鵡を拾った"。 そこから"村田"のトルコ留学記の様子が少しずつ見えてきます。 ラストにある "ああ、私はこういうことだけ延々と書いていたい。鸚鵡が何と言ったか、とか、オットーが何に笑ったか、ムハンマドがどうして腹を立てたか、そういう日常の、ごくごく些細なことだけを。" この文章のような異国での戸惑いながらも幸福な日々の話が続くのかと思っていたけれど、梨木さんらしい甘いだけではない、「生」についての話で、「友」についての話で、「国境」についての話で、「人権」についての話でした。 舞台は異国の地の話でしたけれど、これは現代の日本にも通ずるものだと思います。
  • 2025年4月2日
  • 2025年3月27日
    幸福な王子
    幸福な王子
    『幸福な王子』は子どもの頃大好きなおはなしでした。繰り返し何度もアニメを観てました。 小説で読み直してみて、子どもの頃は燕はメスだと思っていたけれど、実際はオスだったと知り、子どもながらに先入観があったんだなと気付かされました。改めて読んでも好きな物語でした。 オスカー・ワイルドのその他の作品は初読みでしたが、なんてメルヘンな文章を書かれるのだろうと思いました。内容は教訓めいたものが多いですね。「人の振り見て我が振り直せ」。
  • 2025年3月24日
    サンタクロース少年の冒険
    サンタクロース少年の冒険
    誰かから優しさをもらえたら、不遇の人も優しい心が育ってそれをまた誰かに分けたくなる。 サンタクロースはそうやって生まれた。 優しさが不遇の少年をサンタクロースにする物語。 あとがきの最後が素敵な言葉で締められていました。 "どうやら宗教も国境も飛び越えて、すべての子どもに親切で、万人に愛されるこのサンタクロースが平板ではあっても古臭くなく、良くも悪くもグローバルで、どこか現代的に見える"
  • 2025年3月19日
    小説 劇場版モノノ怪 火鼠
    劇場版モノノ怪第二章 火鼠の公式ノベライズ 映画では描かれなかった、心情や背景やカットされたシーンなどが事細かに綴られていて、より理解が深まります。 舞台は大奥だけれど、語られることは現代にも通ずるものかと思います。 世の中の"明日"を明るくするものは何か。 劇場版と書籍とどちらもおすすめします。
  • 2025年3月17日
    オズの魔法使い
    オズの魔法使い
    映画『ウィキッド』を観て、『オズの魔法使い』は子どもの頃に絵本で読んだだけで、内容はうろ覚えでしたので、改めて読んでみました。 かかしが望む「賢い頭脳」やキコリが望む「優しい心」、ライオンが望む「恐れ知らずの勇気」、それぞれ自分に欠けていると思っている。けれど、それは元々持っているもので、誰かのため、共に旅する仲間のために幾度も発揮されてきたもの。 決して自惚れることなく、理想の自分になるために、数々の試練を越えていく物語。 やさしい気持ちになれる物語でした。
  • 2025年3月15日
    ミステリと言う勿れ(15)
    ライカさんと整くんがずっと一緒にいられる、「ひとり」と「ひとり」として出会えていたらなぁと、胸が痛い。表紙のライカさん美しさが極まってる。桜が似合うところも切なさと儚さを際立たせる。大好きだなぁ。
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