
ユウキ
@sonidori777
2025年11月30日
陳澄波を探して 消された台湾画家の謎
柯宗明,
栖来ひかり
読み終わった
借りてきた
絵画修復をきっかけに、時代から消されていた画家、陳澄波の生涯を追う歴史小説。中国の文化を色濃く残す台湾の家庭に生まれ、日本統治時代を経験しながら台湾の嘉義、東京、上海で絵を描き続けた澄波はその絵描きとしてのアイデンティティやルーツをそれぞれに持ちながら、その立場が戦局によって揺らがざるを得ず、時代に翻弄されて最後には白色テロで命を落とす。
植民地支配を行っていた日本への感情の複雑さ、祖先の祖国である中国への帰属意識と白色テロでの裏切り、台湾やそこで生きる人への愛情が、そのプロレタリア精神に即して絵を描いてきた人生からうかがえる。澄波の無実と人生を信じ、絵を残してきた妻の捷もすごかった。
台湾での2・28事件から始まる白色テロ、戒厳令下における恐怖政治、時代と大国にアイデンティティを分断されてきた台湾の人々たちのことを思いながら、民主主義の火が台湾から(世界からも)消えないことを本当に祈りたい。
